第3回:リアルタイムは必要か?

SAPなどは統合データベースでのリアルタイム連携をシステムの最大のメリットとして上げていますが、日本でそのストロングポイントがあまり効果を発揮できないでいます。
海外ERPが中小中堅企業に浸透しない理由もこのあたりにあると思います。

その理由は日本ではリアルタイム情報が出てこないからです。このことは日本固有の「月締め」の問題と深く関わっています。

ここで「月締め」について、少し詳しく述べておきます。「月締め」という概念は日本のビジネスに特有の文化です。海外ERPが日本にやってきたときに、この機能は全くありませんでした。

月で締めるということは、「今日売買したものを月末で売買したものとする」ということになりますので、債権債務の繰り延べに相当します。しかも翌月末払いというような支払条件も異質で、システム的にもサイトが28日のこともあれば、31日のこともあるという、かなり複雑は仕組みと言えます。

海外の人々にとっては、なぜこのような複雑な仕組みを取っているのか理解できないことでしょうが、理由は日本が農耕民族文化だということ無関係ではないでしょう。

農業に従事する「村」を中心として発達してきた日本では、グループ外で生きることは難しく、このため互いを信用するという基本コンセプトがあります。欧米型のローンやクレジットカードというものと異なり、契約ない無形の信用取引が存在することになります。これがリアルタイムの情報収集には大きな障害です。

結果、すべては月初に相手からの請求書が届いてからという段取りになり、そこから月の業績などが確定するという流れになります。月中のデータは仮の数字となります。

日本ではリアルタイムで会計連携するのは難しいし、問題があると言えるでしょう。